slice categoryの羃対象を引き戻しが保存すること
October 29, 2019
準備
十分に大きい圏Cを考える. Cの対象Xがexponentiableであるとは, 関手 −×X:C→Cに対して右随伴関手(−)X:C→Cが存在することである.
また, Cの射としてα:Y→Xをとるとき, canonicalな構成としてpullbackによる関手α∗:C/X→C/Yがある.
主張
C/Xの対象fがexponentiableであるならば, C/Yの対象α∗fもexponentiableである.
証明
Step1
簡単な事実として, 右随伴関手α∗:C/X→C/Yに対する左随伴関手α♯:C/Y→C/Xを考えることができる.
(対応としては, h↦αhとすればよい).
実際にunit ϵ:id→α∗α♯(=id), counit η:α♯α∗→idを定義して, 標準的な公式 :
(ηα♯)(α♯ϵ) (α∗η)(ϵα∗)=id=id
をチェックする.
ϵは恒等変換とすればよい. ηはpullbackをとる時に得られるcanonicalなprojectionを使えば構成できる. すると,
(ηα♯) (α∗η)=id=id
となることがわかる.
Step2
圏C/Yの対象aに対して, 以下が成立する.
α♯(a×α∗f)=α♯a×f
以下の図式を辿るとわかる.
Step3
Step1より, a∈C/Y, b∈C/Xに対して, 自然同型Hom(α♯a,b)→Hom(a,α∗b)がある.
また仮定より, c,d∈C/Xに対して, 自然同型Hom(c×f,d)→Hom(c,df)がある.
従って, a,b∈C/Yに対して合成により, 自然同型
Hom(a×α∗f,b) =Hom(a×α∗f,α∗α♯b)←Hom(α♯(a×α∗f),α♯b)=Hom(α♯a×f,α♯b)→Hom(α♯a,(α♯b)f)→Hom(a,α∗(−)fα♯b)
が得られる.
すなわち, 関手 −×α∗f:C/Y→C/Yに対して右随伴関手α∗(−)fα♯:C/Y→C/Yが得られた.