複体のコホモロジー
October 02, 2021
補題3
射f:X→Y, g:Y→Zから導かれる以下の図式は完全である
0→Kerf→Ker(g∘f)→Kerg→Cokerf→Coker(g∘f)→Cokerg→0
証明
省略する
定義
複体C∙=(Cn,∂n:Cn→Cn+1)n∈Zは以下を満たすものである.
∂n+1∘∂n=0
また複体の間の射f:C∙→D∙は以下を満たす射の族(fn:Cn→Dn)n∈Zのことである.
fn+1∘∂n=∂n∘fn
複体C∙に対して, コホモロジーHn(C∙)を以下のように定義する.
Hn(C∙)=Ker∂n/Im∂n−1
ここで商は単射in:Im∂n−1→Ker∂nのCokerinを意味している.
inは標準的に定まる. 以下の可換図式をみよ.
射f:C∙→D∙に対して, 普遍性によりコホモロジーの間の射Hn(f):Hn(C∙)→Hn(D∙)が誘導される.
複体の列
0→P∙fQ∙gR∙→0
が鎖ごとに完全であるとは, 任意のnについて
0→PnfnQngnRn→0
が完全であることである.
0→P∙fQ∙gR∙→0が鎖ごとに完全であるとする.
このとき連結射cnとして以下の図式を完全にするものが存在する
Hn(P∙)Hn(f)Hn(Q∙)Hn(g)Hn(R∙)cnHn+1(P∙)Hn+1(f)Hn+1(Q∙)
cnの構成法
複体C∙に対して, Zn+1(C∙):=Ker∂n+1, ′Zn(C∙):=Coker∂n−1と置く.
普遍性により射dnが存在する. このとき以下のような完全列が存在する.
0→Hn(C∙)Kerβ′Zn(C∙)dnZn+1(C∙)Cokerin+1Hn+1(C∙)→0
補題3により
Ker(Coker∂n−1)(=Im∂n−1)→Ker(β∘Coker∂n+1)(=Ker∂n)→Kerβ→Coker(Coker∂n+1)(=0)→0
が完全となるが5項補題によりKerβ≅Cokerin=Hn(C∙)がわかる. 従ってKerdn≅Ker(Ker∂n+1∘dn)=Kerβ≅Hn(C∙)≅ImKerβとなる.
一方Ker(Cokerin+1)=Imin+1≅Im∂n≅Imdnとなっているため完全であることが言えた.
工事中…